イギリス人の道4 7月8日(金) プレセド - ブルマ

 狭いキッチンで昨日のレストランで買っておいたボカディージョ半分を食べて7時に出発する。このアルベルゲも巡礼路から少し外れているので、まずは巡礼路に復帰するために少し戻る。暗い山道だが、昨日の明るいうちに3つの曲がり角を確認しておいたので心配ご無用だ。
 暫く歩いて行くと、昨日ごはんを食べたレストランの裏手に出た。えーっ、巡礼路ってここを通ってたの!それが分かってたらわざわざ遠回りして淋しい裏道を通らなくて良かったんだが。まともな地図を持っていないから仕方ない。

 その後は地図を見て想像したとおりの急な登りが続いていた。ひたすら歩き、途中に腰を下ろすのに手頃な石があった所でボカディージョの残り半分を食べて大休止。長めに休む時はいつも靴と靴下を脱いで足を開放することにしている。この淋しい道では歩いている人が少なく、20分ほど休んでいる間、誰も通らなかった。まぁ道は関係ないか、他の人と時間がズレてたからかな。



 森の中を歩いたり舗装路だったり、草原の中を歩いたり、変化に富んだ道を歩き続ける。
 人里離れた山の中にポツンと何かの施設が建っていて、そこの壁に「ALBERGUE DE BRUMA 3km」と大きく書かれている。建て物は柵で囲まれており、扉には世界共通の「進入禁止」のイラストが描かれている。一体なんの施設なのか皆目分からないが、こういう看板は先が見渡せて非常に有難い。しかし、残念ながらこういう親切な看板は滅多にあるものじゃない。


 そこから30分歩いたところにブルマのアルベルゲはあった。スペインに良くある石作りの重厚な建物。11時10分に到着なのでとても早い時間だ。ホワン、ハイメ親子が外で開くのを待っていたので私は3番目の到着だった。取り合えずビールが飲みたい。このアルベルゲの庭には二羽鶏がいたじゃなくてビールの自販機が設置してあった。ビールが1ユーロに対して、手持ちのコインが0.99ユーロしかないと言うのは何かの皮肉か。どっちみち細かいコインを合計して1ユーロ揃ったとしても、そんなコインは使えないので別の方法を考える。

 昨日はアルベルゲから400m歩かないと店がなかったが、ここには100mの所にバルがあった。早速そこへ行って生ビール1.5ユーロを飲ませてもらう。店の人にメルカード(スーパー)があるかと聞いてみたら、2km行ったところにあるそうだが、この暑さの中2kmはちょっと勘弁だ。ここにやって来る途中にも店はなかったから、昨日に続き買い物ができないイコール食料がないことになってしまった。食事は村に1軒だけのこのバルでとるしかなさそうだ。今はビールだけにしといて、3時ころにでも昼・夕を兼ねた食事をしにやってこよう。このバルは一般の民家と変わらない外観だった。表に出してある立て看板がなかったら誰もバルとは気がつかないだろう。村に1軒だけのバルなので競争相手がいないからこそ出来る荒技か。

 1時にオスピタレロがやってきてチェックイン開始。6ユーロ。Wi-Fiは相変わらずスマホでしか使えないろくでなし。今回も下段ベッドを確保して一安心。このアルベルゲは我々フェロール出発組とア・コルーニャ出発組が合流するところなので、予想通り沢山のペリグリノが続々とやって来る。大き目のアルベルゲだが、そのうち一杯になってしまうかも知れない。フェロールからのスペイン3人娘はいつも到着が遅いので、あぶれる可能性があるな。どうなるか?

 ここはベッドルームとシャワー、トイレが 別棟になっているので、夜中に一度トイレに起きる私には難儀な作りだった。

 キッチンではお湯が沸かせて瓶の中に粉コーヒーがあったので飲んでみる。基本的にアルベルゲに残されている食材は後の人が自由にしていいのが有難いシステムだ。ビンごと置いていくなんて、どんなお金持ちなんだろう。

 3時過ぎたのでバルに食事をしにいく。多くのバルにはWi-Fiが完備されているので、ここでゆっくり食事をしながらフェイスブックへのアップやメールをチェックしておく。1皿目はジャガイモスープで2皿目にはポークを頼んだつもりだったが、出てきたのは昨日と同じチキンだった。鶏は骨が多くて食べづらいんだよな。ボトルワインはのんびり8割がた飲んでおく。味は旨くも不味くもないと言うところか。昨日のワインはとても旨かったので、私でもワインの不味い旨いは幾らか分かるんだな。ここの定食にはデザートにプリンとコーヒーも付いたので、まだ寝るまでには相当の時間があるので飲ませてもらう。

 4時近くにアルベルゲに戻る。暗くなるのは10時過ぎなので時間をつぶすのが大変だ。みんなも外で寛いだり近くの小川で遊んで時間潰しをしている。これもまたゆっくりと時間が過ぎて行き良いひと時か。

 明日も公営アルベルゲに泊まる積もりだったが、ホワンが次のシグエイロには公営はなくて私営だけだと言っている。でも、タブレットの地図には公営があるらしいのだが、同じところに私営もあるようなので行ってみないと分からない。どっちにしても、シグエイロ以外に泊まれるところはないので何とかするっきゃないだろう。念のためオスピタレロに聞いてみたところ、シグエイロには2軒アルベルゲがあるが、どちらもペケーニョ(小さい)で収容人数は少ないそうだ。早めに着いて地図に載っているアルベルゲをまず目指そう。買い物ができないので明日の食料が殆どないが最後の頼みのスープを持っているので、それに日本から緊急用に持ってきている潰れたカロリーメイトでも入れて朝飯にするか?

 前のアルベルゲで一緒だった美人ママの一家はやってきたが、スペインの3人娘は来なかった。どこに泊まったんだろう?


イギリス人の道5へつづく